高校に到着した志貴達が目指したのはやはりクラス一覧である。

「志貴ちゃんと・・・」

「同じクラスになれます様に・・・」

小声でそう呟く翡翠達と共にクラス一覧を見る。

「えっと・・・俺は一年D組か・・・それで・・・」

それから志貴はさり気なく他のクラスを見る。

すると、ある名前を見た瞬間眼光を鋭くさせる。

「一年B組・・・『遠野四季』か・・・」

だが次の瞬間、志貴の後ろから大歓声が響いてきた。

「「やったあああああ!!」」

「うわっ!!」

なんだと見やると琥珀と翡翠が抱き合って跳び上がっている。

見るとクラスは一年・・・D組・・・それも二人とも。

「ああ・・・同じクラスだ」

「うんっ!!」

「志貴ちゃんと同じクラス!!」

二人は満面の笑みで頷きあう。

「よろしくな二人とも。じゃあ教室に行くか?」

「「うん!!」」

四『接触』

そして数時間後、入学式が終わると、黄理と真姫が志貴達に近寄る。

「じゃあ私と御館様は里の方に帰るわね。それとこれが銀行の通帳とキャッシュカード、毎月の生活費はここに振り込むわね。これは翡翠、あなたが管理していてね」

「はい」

「琥珀には渡さないようにしてね。あの子だと掃除でゴミと一緒に捨ててしまう恐れもあるから」

「お母さんそんな事しないよ〜」

賑やかに話す真姫達を尻目に志貴と黄理は小声で

「志貴、わかっていると思うが遠野の件で判った事が判明したら直ぐに知らせろ」

「はい、じゃあ父さんも気をつけてね」

「ああ、じゃあ真姫行くぞ」

「はい御館様。じゃあ翡翠、琥珀三年間楽しんでいらっしゃい」

「「はいお母さん」」

「それと、志貴にはたくさん可愛がってもらうのよ」

そんな意味深な発言に

「「お、お母さん!!」」

二人は顔を真っ赤にさせていた。







入学式も終わり教室では各々自由に喋っていた。

「そう言えば担任の先生って誰なのかな?」

翡翠が首を傾げてそう言う。

「さあ、何でも今年この学校に来たばっかりの先生だって言うけど・・・」

そんな事を言っていると

「いよぉ!!七夜奇遇だなぁ!!」

やけにハイテンションな声で志貴に声を掛けてきた男子生徒がいた。

「・・・何だ、どこの馬鹿かと思えばお前か」

「つれねえなせっかく唯一無二の親友が声を掛けてきたって言うのによぉ!!」

「悪いが俺はお前を親友とは思ってない」

志貴の冷たい声にも拘らずその男子生徒・・・オレンジ色の頭髪に紺の制服でなく白の制服を着た男はノンストップで喋り倒す。

「冷たいじゃねえか七夜・・・おまけにこんな可愛い美少女を二人も囲い・・・ふげっ!!」

あまりにもうるさいので志貴が問答無用にアッパーカットを叩き込む。

「「し、志貴ちゃん・・・」」

「大丈夫、あいつはあの程度じゃ死なない」

心配げな二人に志貴はあっさりと言う

「えっと・・・大丈夫ですか?」

それでも琥珀が声を掛けると

「おおっ!!大丈夫ですとも!!さあお嬢さん!!こんな薄情な男なんぞ放っておいて・・・」

一瞬で蘇生を果たし琥珀の手を掴んで連れ去ろうとするが

「い、いやああああああ!!!」

その蘇生の早さに恐怖を感じたのか、琥珀の見事なまでの一本背負いを決められ再び床に叩き伏せられる。

「一応聞くが大丈夫か?有彦」

「だ、大丈夫な訳あるか・・・」

「死んだか・・・哀れな・・・」

「し、死んでおらんわ・・・」

志貴は床に倒れる有彦に声を掛ける。

「姉さん大丈夫??」

「ぐすっ・・・翡翠ちゃん・・・」

「大丈夫か?琥珀」

「えーん、志貴ちゃん怖かったよぉ〜」

「あー、まあよしよし」

頭を撫でて宥める志貴。

「志貴ちゃん、この人誰なの?」

やや警戒しながら翡翠が尋ねる。

「あ〜一応俺の腐れ縁」

志貴としてはそれしか言えなかった。

彼・・・乾有彦とは志貴が出会ったのは今から五年前、『千年城』で修行中の志貴と出会いそれ以来の腐れ縁になる。

何でも青子の家とこの有彦の家は親戚らしく、有彦自身は魔術も使えないただの一般人なのだが、その破天荒な性格が青子に気に入られ超が付くほどの特例で『千年城』に案内されたらしい。

確かに志貴から見れば有彦と青子の性格は、とてもよく似ていらっしゃると思えた。

そして、志貴は有彦が青子を『ばばあ』と呼んでその度に吹き飛ばされるのを見ており、その身体の頑丈・・・もしくは不死身っぷりには感嘆していた。

それから志貴と有彦は憎まれ口を叩きながらも一応友人として付き合ってきたのだ。

「さてと、そろそろ担任が来るんじゃないのか?」

そう言うと同時に扉が開かれ担任と思われる女教師が入ってきた。

そしてそれを見た志貴は思いっきり机に額を強打した。

そこに立っていたのは蒼い髪のショートカットに眼鏡を掛けた、いかにも知性派美人の代表と言える女性。

しかし、志貴は彼女の正体を知っていた・・・それは。

「皆さん初めまして。今日からこのクラスの担任を任される事になりましたエレイシア・知得留と申します。よろしくお願いします」

おおーーっ!!と、男子生徒が大歓声を上げる。

正体を知っている筈のオレンジ馬鹿すらもが大歓声を上げている。

そんな中志貴のみは唖然としながら

「え、えええええええええ・・・」

口をただパクパクさせてエレイシアを指差す。

「あらどうしたんですか?七夜志貴君?」

そうわざとらしくたずねるエレイシアにたいして遂に

「ね、姉さん!!何やっているの!!!」

志貴はそう叫ぶと、エレイシアの襟首を掴んで廊下に引きずり出す。







「はあ・・・はあ・・・ね、姉さん!!!」

「あら?志貴君駄目ですよ?私と志貴君は教師と教え子なんですから」

階段の陰にまで連れ出した志貴に対してエレイシアは爆弾発言を投下する。

「だから!!そのネタは止めてください!!どうしたんですか!!姉さん確か今埋葬機関で働いているんじゃ・・・」

「ええ、そうですよ。ですからこうして教師に成りすまして、ここに潜入しているじゃありませんか?」

「・・・どう言う事ですか?」

その言葉に落ち着いた志貴はエレイシアを見る。

「簡単に言えば『真なる死神』の身辺調査と言った所ですね」

「はあ・・・あの人まだ根に持っているんですか?」

その指示を出したであろう人物の顔を思い浮かべて、志貴は深い溜息をつく。

「でしょうね。聞きましたが志貴君今では埋葬機関内で生きた神話扱いですよ。あの陰険サド女に正面切って『おばさん』と言ったのは志貴君だけですから」

「勘弁して下さい。姉さん」

「ふふふ・・・まあ、目的はそれだけじゃないんですけど・・・」

そこまで言ってエレイシアは口ごもる。

「・・・やばい仕事なんですか?」

「ここじゃあちょっと・・・後で志貴君にも話してあげますね」

「お願いします。とりあえず俺と姉さんは遠縁という事で口裏を合わせてくださいね」

「ええ、わかっています」







そして、教室に帰ってきた志貴達を待ち構えていたのは男子生徒の圧倒的な殺気に満ちた視線だった。

「な、なんなんだ?」

首を傾げながら席に着くと今度は

「志貴ちゃん・・・」

「誰あの人?」

翡翠と琥珀が詰問してくる。

「欧州に修行した時に出会った・・・俺にとっては頼りになる姉御と言った所」

「「ふーん」」

「こら、七夜君、それに巫淨翡翠さん、琥珀さん、先生のお話をちゃんと聞いてください。

「はいすいません」

言葉でこそ素直に謝ったが何か納得の行かない志貴だった。







「という事で授業とのお知らせなどは明日のレクレーションで行いますのでそのつもりでいてください。では今日はこれまでです。皆さん気をつけて帰って下さいね」

一通りの連絡事項を終わらせてその挨拶と共にエレイシアは教室を後にした。

「ふう・・・終わったな・・・翡翠・琥珀昼は・・・」

そう言って振り返ると二人は既に同じクラスの女子達数人と仲良く談笑していた。

「あっ志貴ちゃん・・・」

「いいって俺は少しぶらぶらしてるから一時になったら帰るか?」

「「うん。じゃあ私達も少し散歩してくるね」」

二人は連れ立って教室を後にする。

「おう、七夜お前はどうする?」

「俺は時間まで学校ふらついてくる」

そう言い、席を立とうとした時

「おい、七夜志貴はいるか!」

廊下から教室に向けて一人の男子生徒が叫ぶ。

その声に教室は静まり返る。

そこには男子にしては肩口までかかった長めの黒髪に鋭い・・・いや、険しい視線を投げ掛ける一人の男子生徒がいた。

「おい・・・」

「ああ、遠野だ・・・」

「何しに来たんだよ・・・遠野が・・・」

この地元と思われる生徒達がひそひそ声で話し合う。

「ああ、七夜志貴は俺だが」

「貴様か・・・ちょっと面かせ」

そう言ってその男子生徒は踵を返す。

「七夜が・・・あいつ一体遠野に何したんだよ・・・」

「知るかよ・・・」

周囲のひそひそ声は更に大きくなる。

そんな中当の本人は平然な表情で

「おい、七夜・・・」

「ちょっと行って来る」

そう言うと、志貴も教室を後にした。







屋上ではその男子生徒がただ一人立っていた。

「ふん・・・きやがったか。待っていたぞ」

その手には何も持ってはいない。

しかし、その足元にはバケツが置かれていた。

「で、何の様だ?・・・遠野四季」

「・・・なんだ俺の名を知っているか・・・なら話は早いな。貴様、遠野槙久を知っているな?」

「ああ・・・俺の父さんが殺した遠野の前当主・・・そして、お前の父親・・・」

「そうだ!!!貴様の親父が俺の親父を殺した!!」

そう言いながら四季はバケツの中に手を突っ込む。

何が入っているかと思ったが、意外にもそこには言っていたのは水だった。

「・・・いずれ七夜は皆殺しにしてやる。だがな・・・その前に貴様から血祭りにあげてやる。肉親を失う悲しみを七夜黄理にも味合わせてやる!!」

そう言うと四季は水に濡れた手を振る。

その瞬間水飛沫が弾丸の如く唸りを上げて志貴に襲い掛かる。

咄嗟に志貴は懐から『七つ夜』を抜き

―閃鞘・八点衝―

水の弾丸をことごとく砕き、弾き飛ばす。

その瞬間砕かれたそれは霧のように細かくなり霧散する。

「おい・・・冗談だろ?」

間違いなくあれは水、だが迎撃した時の感触は紛れも無い鉄のそれ。

どうして・・・

(遠野の特殊能力か?)

そう、いぶかしんでいると、

「へっ、まあ、あんな程度で死んでもらったら困るからな。とりあえず今日は挨拶程度だ」

そう言うと、四季はそのまま志貴とすれ違いざま、

「覚えておきな。貴様を何時でも殺せる事を」

そう言うと、四季は屋上を後にした。







浮かぬ顔で昇降口にやってきた志貴を翡翠達が迎える。

「あっ志貴ちゃん」

「どうしたの?」

「ああ・・・翡翠お待たせ。琥珀、なんでもない」

「まったく遅いですよ志貴君」

「すいません・・・ってなんでいるんですか?エレイシア姉さん」

「翡翠さんと琥珀さんがお昼をご馳走してくださる事ですから」

「やっぱり・・・安月給なの?」

「それはそうですよー、おまけに上司は意地汚いは同僚にも恵まれていないはで散々ですよ」

「安い・危険・汚いの3Kといった所?」

「そうです!!それです!!」

固有名詞を抜き取れば普通の職場の愚痴とまったく変わらない。

「そんな事言うと・・・まあ、いっか。俺も姉さんがなんでここに来たのか聞きたいから・・・それと翡翠、琥珀この子は?」

そう言って志貴は最初から翡翠達といておっかなびっくり志貴を見ている、女子生徒に視線を送りながら二人に尋ねる。

やや茶色っぽい髪をツインテールにした明るい笑顔が似合いそうな綺麗と言うよりは可愛らしいという表現が似合う少女だ。

「えっと・・・同じクラスの弓塚さつきさん」

「ほら私達の席の右隣後ろの。いままでさつきさんと話しながら志貴ちゃん待っていたから・・・」

「ああ、そうか。そう言えば」

「もう志貴ちゃん、忘れちゃ駄目だよ」

「ははごめん、エレイシア姉さんが来た時点でその事で真っ白になっていたよ。えっと・・・弓塚さんだっけ?」

「は、はいっ!!」

今まで話に加わらずただただ志貴をじっと凝視していたさつきだったが、志貴から声を掛けられると顔を真っ赤にして返事をする。

「初めましてと言った方が良いかな?」

「う、うん!!大丈夫!よろしくね七夜君!!」

「ああ」

そう言って優しげに微笑む志貴にさつきの顔は更に紅潮する。

それを見た双子姉妹は一瞬で事態を悟り、やや怒った口調と表情で

「「志貴ちゃん!!行こう!!」」

と、同時に耳を引っ張る。

「いたたた!!わ、わかったから耳引っ張らないで!!じゃあ弓塚さんまた明日」

「う、うん!!七夜君またね!!」

引っ張られつつもさつきへの挨拶を忘れない志貴に三人は溜息をつく。

「翡翠ちゃん・・・どうして志貴ちゃんにはこうも女の子が近寄って来るんだろう?」

「知らない!!」

「はあ・・・志貴君相変わらずですね・・・」







「はあぁ〜やったよぉ〜七夜君とお話出来た・・・」

さつきは遠ざかって行く志貴達を尻目に一人大はしゃぎだった。

何しろさつきにとってはまさしく一目惚れである。

クラス分けの時何気に見た志貴の横顔に釘付けとなり、おまけに同じクラスということで内心狂喜した。

その上で彼と仲の良い翡翠に琥珀と話をしながら志貴と接触する機会を伺い、あっさりと成功したのだからその喜びはひとしおであった。

「でも・・・翡翠ちゃんに琥珀ちゃんも可愛いからな・・・ううん!!負けちゃ駄目だよ!!まだまだチャンスはいくらだってあるんだから!!」

そう言ってさつきはスキップしながら自宅に帰って行った。







自宅に帰り琥珀の作った昼食を食べ終わり、琥珀は後片付けを翡翠は部屋の掃除を始めると、居間には志貴とエレイシアが残った。

「はあ・・・美味しかったですね」

「うん、琥珀の料理は折り紙済みだからね・・・」

「それよりも・・・志貴君、何でここにアーパー吸血鬼の元使い魔がいるんですか?」

エレイシアがややこめかみを引く付かせながら尋ねる。

その視線の先にはレンが人型になって志貴のあぐらを組んだの中ですっぽり収まっていた。

「ああ、最近レンがここに座るのがお気に入りなんですよ」

「そう言う訳ではなくて・・・まあ良いでしょう」

「所で姉さんどうしたの?教師になってここに侵入したのって埋葬機関がらみなんでしょ?」

「そうですね・・・志貴君にだったら構わないでしょう・・・私がここに来たのは遠野家の調査の為なんです」

「遠野の??」

志貴は聞き返す。

「ええ、実は・・・最近とんでもない死徒が欧州で大量に発生しているんです」

「とんもでない死徒?なんですか?」

「ありていに言えばバイオ死徒・・・人間が作り出した死徒・・・のようなものです」

志貴は眉をひそめる。

「・・・どう言う事ですか?」

志貴の問い掛けにエレイシアは静かに語り始める。

「これの存在が出始めたのは今から数ヶ月前、マフィアで極めて強力な兵隊が出回り始めた事がきっかけです。その兵隊は身体能力が常人の何倍にも高められている上にどう言う訳か銃弾を何発も受けても死なず素手で人体を解体出来るという・・・」

「血は吸わないんですか?」

「血には関心をまったく示していません。むしろ破壊衝動の赴くままに破壊を行っていると言った所でしょう」

「薬物とかで身体を強化させていると言う可能性は?」

「それもあります。ですが薬物でも限界があります。薬物で強化して素手で鉄をへし折り、挙句には人体を解体出来ると思いますか?」

「・・・」

否定を込めた無言だった。

「それでその兵隊・・・一応最初に言った『バイオ死徒』と名を私達がつけたのですがそれを一体回収して調査をした所、その死徒の肉体が捕獲される直前まで生きていた事が判明したんです」

「・・・生きていた?」

「ええ、更にDNAを調査した所人種はアジア系身元に関しては不明でしたが、おそらく人身売買なり不法入国なりで手に入れた素体なのでしょうね。志貴君の言った薬物の可能性も出てくるんですが身体能力は死徒のそれです。どうしても矛盾が出てくるんですよ」

「それでそれからどうして遠野家が?」

「表の警察機構も無視出来なくなりまして埋葬機関と共同で調査が開始されたんです。そこから徐々に上に上に調べを続けて言った結果」

「遠野が浮かび上がった」

「はい、ですが遠野は日本有数だけでなく世界中の政府要人とも親交の厚い名家ですから迂闊な調査は出来ません」

「なるほど・・・それに裏では遠野は日本最大規模の混血を束ねる家、裏の埋葬機関でもここでは迂闊に動けない。それで姉さんがまずは潜入調査を行うと言う事ですか」

「そうです良く出来ました。それで志貴君はどうしてここに?」

「俺も遠野の調査です」

そう言うと志貴はここに来る経緯をエレイシアに話す。

「そうなのですか遠野と七夜との間にそんな因縁が・・・」

「はい、現にさっき遠野四季に宣戦布告されましたし」

「そうなのですか・・・志貴君大丈夫なのですか?」

エレイシアが心配げにたずねる。

「大丈夫ですよ姉さん。俺の実力は姉さんが一番良く知っているでしょ?無論油断はしませんけど」

「そうですね。では時折情報交換でもしますか?」

「それ良いですね」

そう言って話がまとまると丁度良く琥珀と翡翠が自分達の仕事を終わらせて戻ってきた。

「志貴ちゃんお話し終わった?」

「ああ、丁度今終わった所」

「じゃあさ、志貴ちゃんお夕飯の買出しに行こう」

「ああ、三人で行こうか」

「「うん!!」」

志貴の言葉に心底嬉しそうな姉妹。

と、そこにエレイシアが首を傾げて問い掛ける。

「そう言えば志貴君聞いていませんでしたが彼女達とはどう言った関係なのですか?」

「へっ?どう言ったって・・・」

志貴が答える前に二人は同時に答える。

「「私達は志貴ちゃんの許婚!!!」」

その直接的な発言に志貴は顔を赤らめ、エレイシアは唖然とする。

しかし、その後立ち直った志貴の姉を自認するエレイシアと志貴の妻(未来の)を確定させているヒスコハによる大論争が数時間に渡り繰り広げられその日の夕食はレトルト食品数品となったのである。

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